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過料について

会社には一定の変更事項が生じた場合、その変更が生じた日から2週間以内に変更登記を行う義務があります。

長い期間、変更登記を怠ったことで過料が科されるケースが多くなっております。

この過料は法人に対して科されるのではなく、代表者個人に対してなされます。

このため、過料として支払った金額を会社の経費として落とすことは出来ません。

代表者個人の住所に宛てて裁判所から過料の書面が送られてきます。

金額の基準は公にされておりませんが、2年程度役員の登記を怠っていたケースで5万円以上の過料が科せられたケースを私自身が見ております。

では、法務局が全ての法人を調べ上げているのかと言えばそうではありません。

何かしらの登記(役員変更等)を行った時に法務局側で「懈怠分」と判断されて、その情報が裁判所に回る、といった感じです。

「なんだ、登記を放置しておけばバレないのか」

そう思った方は後で高額な過料を科せられることを覚悟しなければなりません。

上記したように過料の金額は少ないものではありません。

「そのうち解散させるから大丈夫」

という話も稀に聞きますが、これも過料を免れません。

解散する時は清算人の登記を行うのですが、その際にそれまで登記されていなかったことが判明すると清算人の登記をすることが出来ません。

つまり、本来行うべきであった役員の登記を結局は行う形となります。

当然この場合においても登記を怠っていたことはバレる訳なので過料が科されることになります。

以前に比べ、こうした登記懈怠(登記を怠っていること)に対する法務局の姿勢は厳しくなっています。

登記するのを忘れてしまうケースの殆どが役員変更です。

以下では、よくある勘違いをケース毎に見ていきます。

役員に変更がない場合

役員に変更が無いから登記しなくても良い、と思っている人が意外に多いようです。

役員に変更が無くとも任期が切れれば登記をやり直す必要があります。

ここで、任期について簡単に記載すると株式会社における取締役の任期は原則2年です。

監査役は4年となります。

ただし、定款で役員の任期を10年まで延ばすことが可能なため、この場合の任期は10年となります。

この点において別の勘違いが生じているのですが、それについては後述します。

一般社団法人やNPO法人については理事が2年、監事が4年となり上記した取締役や監査役の原則と同じなのですが、任期を延ばすことが出来ません。

このため、一般社団法人やNPO法人の場合は役員が変わらない場合でも必ず2年毎(若しくは4年毎)に役員変更登記を行う必要があります。

任期を10年に変更している場合

この勘違いも非常に多く見られます。

既述のとおり、株式会社の場合は定款で役員の任期を最長で10年にすることが可能です。

これ自体は間違っていないのですが、注意しなければならないのは役員の任期を10年に変えたとしてもその起算日は変わらないという点です。

例えば、最初は任期が2年であったところ、就任して(正確には選任して)1年が経ったときに任期を10年に変更したとします。

この時、よくある勘違いが「任期を10年に変更してから10年間の任期がある」と思っているケースです。

これは完全に間違っています。

役員の任期を数えるとき、その起算日(出発点)はあくまでも選任日です。

会社法 第322条
取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。(以下、略)

つまり、平成25年6月15日に選任された取締役の任期は平成26年の6月に任期を10年に変更したとしても平成25年6月15日からカウントします。

上記の場合、取締役の任期は平成35年6月までとなります。

ところが、任期を10年に変更してからカウントしていると平成36年になってはじめて選任懈怠(登記懈怠)の状況に気付くことになります。

非営利法人は特に注意

一般社団法人やNPO法人の場合は一層の注意が必要です。

一般社団法人で理事会を設置している場合やNPO法人の場合は必ず監事を置いていると思いますが、先にも触れたように理事と監事はそもそもの任期が異なります(2年と4年)。

このため、理事の変更手続きを2年ごとに行った上で更に4年ごとに監事の変更登記も忘れないように気を付けなければなりません。

NPO法人の場合は事業報告書の提出などで所轄庁(認証局)等が指摘してくれるケースも有りますが、一般社団法人の場合はそうしたフォローがありませんので余計に注意しておくべきと言えるでしょう。

まとめ

上記したような登記を怠っているケースと言うのは決して珍しい話ではありません。

忘れている場合は1日も早く正しく登記を行えば済む話です。

放置していると過料の額はどんどん増えていきます。

「自分の会社は大丈夫だろうか…」

不安な方は遠慮なくご相談下さい。